シンギュラリティとは、日本語名で「技術的特異点」と呼ばれる、AI(人工知能)技術の進歩に伴って用いられてきた用語です。
とりわけ、ここ数年のAIの成長スピードはめざましく、私たちの生活に密接に関わり始めています。
従って、機械の進歩がやがて人間の頭脳には到底理解できないレベルにまで到達してしまうのではないか、と多くの科学者の間で考えられるようになりました。
そして現在、そうした仮説はシンギュラリティ(技術的特異点)と呼ばれ、AI技術を語る上で重要なキーワードとなっています。
AI・第3の波
皆さんは「AI」と聞くとどんなイメージを持ちますか?
最近流行り始めた新しい分野だと感じる方も多いのではないでしょうか。
実はAIとは1950年代から研究が進められてている、それほど新しい研究分野ではないのです。
戦後10年ほどで、コンピューターは推論等ができるようになっていたため、科学者はこうした技術を応用すれば人間の代わりになるロボットを発明できるのではないか、と考えました。
しかし当時の技術では単純な問題を解決するのが精一杯で、実社会のような複数の事柄が絡み合った問題を解決することは難しかったのです。
そうして当時の人々は、次第にAIの限界に気付き初めてしまい、徐々に研究対象から遠ざかってしまいました。
しかし再びAIブームが到来します。
AI「第2の波」です。
1980年代に始まったこの波は「情報量」に注目され、とにかく機械にたくさんの情報を覚えさせ、その情報を元にロボットに物事を推論させました。
これによって機械は知識を蓄えるごとに自身で判断を下せるようになりました。
しかしながら知識を入力するのはあくまでも人間の仕事であり、世の中にある無限とも言える知識を入力するには当然限界があります。
従って今回の波でも実際の社会問題を解決するまでのレベルには至らず、またしても冬の時代を迎えてしまいます。
そして現在我々が目の当たりにしているのが「第3の波」と呼ばれるAIブームです。
今回の波では、「ビックデータ」と呼ばれる膨大な量のデータを用いることで、機械自身が問題を把握できるようになり、こうした点で今までの波とは一線を画していると論じる研究者もいるほどです。
そうした期待から現在AIについての研究が盛んに行われ、今回こそはと多く場所でその利用が進められています。
AIの将来予測
そうして、AIに再びスポットが当たっている現在ですが、そうした技術の進歩が非常に速いことから、「ロボットの能力が人間を追い越してしまうのではないか」と議論されるようになりました。
その仮説こそが「シンギュラリティ」なのです。しかしそうした仮説から「機械が人間を滅ぼしてしまう」と悲観的に考える人まで現れました。
まるで映画「ターミネーター」のように、人間が作ったロボットによって自らの身を滅ぼしてしまう、というストーリーです。
しかしそうした議論の一方で、AIの有識者は「そうした脅威はない」と過度に怯える必要がないことを訴えています。
急速に発達しているように見える現在の進歩もかなりの時間を要した結果であり、実際にどれくらい進歩したのかというと、ほんのわずかでなのです。
従って、機械が人間を滅ぼしてしまうほどの力を持ってしまうのはかなり先であると考えられ、機械が勝手に暴れ出して人間の住む場所を追いやってしまうという心配は今のところなさそうです。
技術の進歩について例をあげるならば、最近度々耳にする車の自動運転についてのニュースです。
確かに日々技術の進歩はあるものの、それが普及するまでには非常に時間を要します。
実際に無人車がビジネスとして発達し、そこから実益が出るまでに発達するのはまだ先ということなのです。
毎日驚くようなスピードで進化しているように感じる技術の進歩も、落ち着いて見てみると長い時間の中でなされていることがわかります。
従って、私たちは日々の進歩に耳を傾けながら、将来、機械とどう上手に付き合っていくかその方法を考えていく必要がありそうです。
進化する技術について決して過信せず、一方で将来への希望を込めながら日々の進化を見守りたいですね。