古民家の人気の秘密
築100年以上の古い民家を直してそこに住んだり、都会のほうに移築したりする人がいます。そんな古くて新しい住まいのあり方が最近注目を集めています。古民家の魅力、それは一抱えもあるような太い大黒柱に守られた安心感です。もしくはむき出しになった黒光りする梁の木組みの力強さや、真っ白な漆喰で塗られた真壁の美しさかもしれません。いずれにしても現代の住宅が失ってしまったものばかりです。
その中でも100年以上の年月をかけて囲炉裏やかまどで醸しだされた古材の風合いは、新材で建築された住宅では、決して味わうことはできません。これが新建材で建てられたものであれば、年月を経ることでただ薄汚れていくだけです。100年以上の歴史を刻んできた古材のほのかなぬくもりを肌で感じながら過ごす生活。それは今日では最も贅沢なライフスタイルになっています。
古民家の話題性
ここ数年古民家の再生がテレビや雑誌などで取り上げられてきています。そして住宅の一つのジャンルとして、にわかに話題を呼ぶようになってきました。これまでは単なる時代遅れの産物であった田舎の民家が、今度は夢のマイホームの代表格に祭り上げられています。ここまで古民家の評価が変わってしまったのはなぜなのでしょうか。
一つには住まいの中に含まれるいろいろな化学物質により、体調不良を引き起こしてしまうシックハウス症候群が、表面化してきたことでこれまで信頼されてきた新建材による家づくりが見直され始めたためです。また社会問題化した欠陥住宅の急増も、民家のように職人たちの確かな技術によって建てられた住宅の再評価につながっているようです。また建築廃材による環境破壊も、古民家ブームの一因になっています。
古民家の民家再生へ
戦後から高度成長期、そしてバブルの時代を経て今日まで連綿と続く日本の住宅のありようが今大きく問われだしています。そうした中で人にも自然にもやさしく、心地よい住まい方の知恵や工夫であふれたいわば先人たちの住文化の結晶ともいえる昔ながらの民家が、再評価されたということです。ですが最近まで民家がすたれていたという事実も見逃してはいけません。
民家が時代遅れの住宅として忘れられたのも、理由があります。それは寒さや暗さ、使い勝手の悪さという欠点も同時に持ち合わせていたからです。ですからやみくもに民家を称賛するのではなく、民家の長所と短所を正確に見極める必要が出てきます。そのうえで現代人のライフスタイルに合った現代の民家として、再生することが大切になってきます。