居酒屋やスーパーなどB to C業種でも新規の感染者相次ぐ
新型コロナウイルスに感染した従業員が判明した上場企業(グループ会社や関連会社を含む)は、 7月28日までに530社が判明した。 発生の少なかった5~6月に比べ、 7月は一転して増加傾向で推移した。
業種別にみると「製造」が最も多く186社。 「サービス」や「小売」などB to C業種も多い
在宅勤務の導入やマスクの着用など感染防止策を各社とも講じていたが、 従業員の感染を完全に防ぐことは難しい。 従業員の感染防止と企業活動の両立をどう実現するか、 各社とも難しい舵取りを迫られている
帝国データバンクの調べでは、 新型コロナウイルスに感染した従業員が判明した上場企業(グループ会社や関連会社を含む)は、 7月28日時点で累計530社に上り、 6月末(382社)から約4割増加した。 3月から4月にかけて急増したものの、 緊急事態宣言の発令による人の移動自粛も伴い、 以降は従業員の感染ケースも少ない状態が続いていた。 しかし、 経済活動の再開が本格化した7月以降、 従業員で新型コロナの感染が新たに判明した企業が相次いだ。 4連休明けの7月27日には23社で新たに判明し、 1日当たりで最多だった4月14日(29社)に次いで多い規模となった。 複数人が同一職場で感染したケースや、 過去に感染者が発生した企業で再度感染が判明したケースもあり、 企業では感染拡大防止に向け、 一時的な休業や店舗閉鎖に踏み切るなど、 緊急事態宣言発令時と同規模の厳しい対応を独自に取るケースも出始めた。
本格的な経済活動の再開に伴い、 企業の従業員感染リスクが再び高まらないかが懸念されていたなか、 在宅勤務の導入やマスクの着用、 アルコール消毒の徹底などで各社とも感染防止に努めてきた。 しかし、 店舗や工場従事者のみならずオフィスワーカーなどでも感染が判明。 これまで感染者が出ていなかった企業でも、 喉の痛みなどから従業員の感染が発覚したケースも相次いでいる。 従業員の安全確保の実現に向けて取り得る十分な防疫手段が限られるなか、 従業員の感染防止と企業活動の両立をどう実現するか、 企業では極めて難しい舵取りを迫られている。
工場等の製造業、 居酒屋やスーパーなどB to C業種などで公表企業が急増
業種別に見ると、 最も多かったのは「製造」で186社に上り、 全体の3割超を占めたほか、 6月末(129社)から57社が新たに判明した。 次いで多かったのは、 ボウリング場やカラオケなどのアミューズメント施設、 IT企業などを含む「サービス」(93社)で、 6月末から26社増加した。 飲食店やスーパーなどを含む「小売」(59社)、 「卸売」(54社)、 「金融・保険」(33社)なども、 6月末から大きく増加した。
最も多い製造では、 自動車や機械、 化学、 食品、 印刷など幅広い分野で感染者が発生。 本社従業員などバックオフィス部門のみならず、 工場に勤務する従業員の感染も相次いだ。 小売やサービスでも、 不特定多数の消費者との接触などで感染リスクの高いスーパーや飲食店、 カラオケなどの業態における店舗内で、 従業員の感染が判明したケースが多かった。 また、 特に感染者が多く判明した製造や小売などでは、 過去に感染者が発生した企業内で再度従業員の感染が判明したケースが多くみられるほか、 全国各地に拠点を有する企業では、 異なる時期・事業所で従業員の感染が発覚する事例も相次いで発生している。